20190729 Whiteboard Conference
- Hajime
- 2019年7月29日
- 読了時間: 2分
80代女性,意識障害
2日前から食欲が低下し,当日朝から反応性低下,立位困難となったため受診.
立位にしようとすると足ががくがくして立てないとのこと.
既往歴は高血圧症と排尿障害があり,それぞれに対して内服あり.
受診時は発熱なく,その他バイタルサインも安定.意識はGCSでE1V1M4. 瞳孔径は両側3mmで,対光反射は正常.指示は通りにくいが粗大な麻痺はなし.
さあ,どうアプローチしていくか.

意識障害の鑑別にはAIUEOTIPSというmnemonicsが知られています.
Alcohol 急性アルコール中毒 Insulin 低血糖/高血糖 Uremia 尿毒症 Electrolyte/Endocrine 電解質異常/甲状腺・副腎機能異常 Oxygen/Overdose 低酸素/薬物中毒 Trauma 外傷 Infection 感染症 Psychiatric 精神疾患 Stroke/Seizure/Shock 脳卒中/てんかん
これを上から順番に網羅的にやっていくのもよいのですが,
緊急性や疾患の頻度・事前確率を考慮していないという欠点があります.
そこで,我々は
・バイタルサインの異常がある/なし
・外傷歴がある/なし
・神経局在症状がある/なし
・発熱がある/なし
で鑑別を進めるようにしています.
この方はバイタルサイン正常,外傷歴はなく,focal sign,発熱もないことから
血糖・電解質異常などが鑑別対象となります.
血液検査を行ったところ,アンモニアが400と高値.
「足ががくがくする」という症状は羽ばたき振戦だったのかもしれません.
しかし,肝硬変がないのになぜ高アンモニア血症なのか.

高アンモニア血症をきたす原因には以下のようなものがあります.
肝硬変
非肝硬変性門脈大循環シャント
ウレアーゼ産生菌感染+尿閉
てんかん発作後
薬剤性(バルプロ酸,α-GI)
多発性骨髄腫
成人型シトルリン血症(まれ)
この方は体幹のCTでシャントを認めず,高アンモニア血症をきたす薬剤の使用もありませんでした.
尿培養でMorganella morganiiが検出され,ウレアーゼ産生菌による尿路感染症と診断されました.
診断:ウレアーゼ産生菌による尿路感染症
尿中の尿素からアンモニアが産生され,膀胱静脈叢から血中に移行するようです.
今回は意識障害の鑑別方法について,それから高アンモニア血症の鑑別について学びました.
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