20191125 Whiteboard Conference
- Hajime
- 2019年11月25日
- 読了時間: 2分
60代,肉体労働に従事している男性.真夏の症例.
11日前から発熱あり.悪寒戦慄はなかった.近医を受診し,感冒と診断され処方を受けたが解熱しなかった. 2日前から嘔気が出現,嘔吐もあり,嘔吐後も嘔気は改善しなかった. 徐々に反応性も低下してきたため受診.
前日近医でCT撮影され異常なし.嘔気は多少よくなっているとのこと.
既往歴としては胃潰瘍,虫垂炎の手術歴がある.
受診時GCSはE4V5M6だがやや傾眠,体温 38.6℃,血圧 125/85,脈拍数 146,呼吸数 24,SpO2 98%(室内気)
Key word: 亜急性の発熱と嘔吐で改善しない嘔気,意識障害
一年目の先生からは低Na血症や肝性脳症が挙がりましたが,それだけでは熱は出ないでしょう.実臨床では二元論,三元論もあり得るけれど.
ウイルス性や結核性髄膜炎は?頭痛はないようだが否定はできないかもしれない.
二年目の先生からは,甲状腺クリーゼはどうか?という意見が出ました.
そうなると前日CTを撮った後良くなったという経過が気になりますよね.
聞き直すと,やはりヨード造影剤が使われていました.
<追加情報>
・軟便があり,2年間で20㎏の体重減少がある.
・近医で最初に処方された「感冒薬」は,詳しく聞くとキノロン系抗菌薬だった.
診断:甲状腺クリーゼ
focal signのない意識障害で発熱がある場合は,脳炎・髄膜炎や高齢者の重症感染症の他に甲状腺クリーゼも鑑別に挙げましょう.
髄膜炎が頭蓋内圧の亢進を反映して徐脈気味になるのに対して,甲状腺クリーゼでは発熱に見合わない頻脈がみられることが鑑別点と言えます.
ヨードは甲状腺クリーゼの治療になるので,熱源不明として全身の造影CTが撮られた結果若干良くなっている…という経過はよくあります.
さすが二年生ですね!一年生のみなさんも一年後にはこうなれるように頑張りましょう!
Comments