本日のWhiteboard Conference
- Hajime
- 2018年8月20日
- 読了時間: 2分
8月も終わりですが,まだ暑い日が続きますね.
本日は研修医の先生が当直で診た症例でした. 主訴は炎天下での作業後の立ちくらみ,四肢の攣る感じ,嘔気・嘔吐.

熱中症疑いということで補液後帰宅になったようですが
嘔吐もしているという点が気になります.
嘔吐の機序としてはCTZ(Chemoreceptor trigger zone)を介したもの,前庭系からの刺激,迷走神経系からの刺激が知られています(他には視覚・嗅覚刺激による中枢性嘔吐,妊娠悪阻などがあります).
確かに熱中症のガイドラインを見ても症状に「嘔気・嘔吐」の記載がありますが,その機序は一体どのようなものなのでしょうか???
「あってもいい」
初学者がこの言葉を使うのはあまりに危険すぎます.
同様のケースを何例も経験したことがある場合,同様の症例が報告されている場合,病態生理学的に説明可能な場合を除いてこの言葉は使うべきでないでしょう.
「本当にそうなのか」「間違っているんじゃないか」
臨床推論においては,疑い続けることが大事です.
違和感を感じた場合は無理やり前に進まず立ち止まり,いったん戻って考え直す勇気も必要です.
各疾患の症状・症候の頻度を頭に入れるのも大事ですが
実際に熱中症のような超コモンな疾患も日々丁寧に診療することで,ちょっとした非典型例に出会っても「あってもいい」ことなのか「絶対にあり得ない」ことなのか見分けがつくし,mimickerに騙されることも少なくなるのではと思います.
Comments